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可燃性ガス、毒性ガス及び蒸気の危険性

トレーニングセンター 秋桜(こすもす)

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可燃性ガス、毒性ガスを扱う場合、それぞれの性質を理解する必要があります。

可燃性ガスは①「燃焼(爆発)範囲」の濃度で②酸素があり③着火源があるという条件を満たすと、燃焼・爆発します。この「燃焼(爆発)範囲」はガスの種類により異なります。 そのため、着火源がある状況であっても、可燃性ガス濃度が燃焼範囲より低くても高くても爆発はせず、また酸素が存在しない状況でも爆発は起こりません。 これらの3つの条件を一つでも排除すれば爆発は起こらないため、正しい知識を持てば可燃性ガスは安全に利用できます。

毒性ガスには種類に応じて「許容濃度」が存在し、人体に危険を及ぼす濃度が示されています。
種類によっては非常に低い濃度で人体に影響が出ることがあるので、注意が必要です。

主な可燃性ガス、毒性ガスの危険性を以下の表にまとめています。
ぜひガスの安全な利用にお役立てください。

ガス及び蒸気 分子式(化学式) 燃焼(爆発)範囲[vol%] 爆発等級 発火度 引火点[℃] 許容濃度[ppm] ガス比重(蒸気密度)[空気=1]
水素 H2 4.0~75 3 G1 (ガス) 0.07
メタン CH4 5.0~15 1 G1 (ガス) 0.55
プロパン C3H8 2.1~9.5 1 G2 (ガス) 1.60 国
n‐ブタン C4H10 1.6~8.5 1 G2 (ガス) 2.05
i‐ブタン C4H10 1.8~8.4 国 ※1 ※1 (ガス) 2.00 国
n‐ペンタン C5H12 1.5~12.5 1 G3 <-40 1,000 2.49
エチレン C2H4 2.7~36 2 G2 (ガス) 200 0.98 国
プロピレン C3H6 2.0~11 1 G1 (ガス) 500 1.49
ブチレン(cis‐2‐ブテン) C4H8 1.7~9.0 国 ※1 ※1 (ガス) 1.9 国
アセチレン C2H2 2.5~100 3 G2 (ガス) 0.90
トルエン C6H5CH3 1.2~7.1 1 G1 4 20 3.18
O‐キシレン C6H4(CH3)2 1.0~6.0 1 G1 32 20 3.66
メタノール CH3OH 6.0~36 1 G2 11 200 1.10
エタノール C2H5OH 3.3~19 1 G2 13 (STEL 1,000) 1.59
アセトン (CH3)2CO 2.1~13 1 G1 -20 250 2.00
メチルエチルケトン CH3COC2H5 1.8~11.5 1 G2 -9 200 2.48
酢酸エチル CH3COOC2H5 2.0~11.5 1 G2 -4 400 3.04
酢酸ブチル CH3COO(CH3)2CH3 1.7~7.6 1 G2 22 50 4.01
都市ガス(メタン基準) メタン基準 ※1 ※1 (ガス) 0.55
LPG(イソブタン基準) イソブタン基準 ※1 ※1 (ガス) 2.0 国
ガソリン 1.0~7 1 G3 <-20 300 3~4
灯油 0.7~5 国 1 G3 37~65 200mg/m3 4.5 国
n‐ヘキサン CH3(CH2)4CH3 1.1~7.5 1 G3 -22 50 2.79
ブタジエン CH2=CHCH=CH2 2.0~12 2 G2 (ガス) 2 1.87
アセトアルデヒド CH3CHO 4.0~60 1 G4 -39 (C25) 1.52
塩化ビニル CH2=CHCl 3.6~23 1 G1 (ガス) 1 2.16
一酸化炭素 CO 12.5~74 1 G1 (ガス) 25 0.97
アンモニア NH3 15.0~28 1 G1 (ガス) 25 0.60 国
硫化水素 H2S 4.0~44 2 G3 (ガス) 1(10 ※2) 1.19
塩素 Cl2 0.1 2.5 国
二酸化硫黄 SO2 (STEL 0.25) 2.25 国
ベンゼン C6H6 1.3~7.1 1 G1 -11 0.5 2.70
アクリロニトリル CH2=CHCN 3.0~17 1 G1 0 2 1.83
臭化メチル CH3Br 10~16 国 ※1 ※1 1 3.3 国
酸化エチレン CH2CH2O 3.6~100 2 G2 (ガス) 1 1.52
シアン化水素 HCN 5.6~40 1 G1 -18 (C4.7) 0.93
ホスゲン COCl2 0.1 3.4 国
塩化水素 HCl (C2) 1.3 国
アルシン AsH3 4.5~78 国 0.005 2.70 国
ホスフィン PH3 1.8~ 国 0.05 1.17 国
シラン SiH4 1.37~100 国 5 1.3 国
ジボラン B2H6 0.8~88 国 0.1 0.96 国
ゲルマン GeH4 0.2 2.65 国
ジクロルシラン SiH2Cl2 4.1~99 国 3.48 国
セレン化水素 H2Se 0.05 2.8 国
フッ素 F2 0.1 1.3 国
二酸化窒素 NO2 0.2 1.58 国
三フッ化塩素 ClF3 (C0.1) 3.18 国
フッ化水素 HF 0.5 0.7 国
臭化水素 HBr (C2) 2.8 国

注意

  • 燃焼(爆発)範囲・爆発等級・発火度・引火点・ガス比重(蒸気密度)は、工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆2006)<2006年3月31日発行社団法人産業安全技術協会>による。ただし、“国”を付している値は国際化学物質安全性カードによる。
  • 許容濃度は、ACGIH2021年度版TVLsによる作業環境中の化学物質濃度を示す。TWA(8 時間荷重平均濃度)、STEL(短時間暴露限界濃度)、C(暴露上限濃度)があり、TWA 以外は( )内に示す。
  • ※1 工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆2006)に記載なし。
    ※2 酸素欠乏症等防止規則(第二条の二 酸素欠乏等前号に該当する状態又は空気中の硫化水素の濃度が百万分の十を超える状態をいう)より。

燃焼(爆発)範囲
可燃性ガスが、空気または酸素と混合している場合、混合ガスの組成がある濃度範囲にあるとき、火源を近づけると爆発現象が起こる。この濃度の一定範囲を爆発範囲といい、その最低濃度を爆発下限界(LEL=Lower Explosive Limit)、最高濃度を爆発上限界(UEL=Upper Explosive Limit)という。
許容濃度
有毒ガス等が空気中に存在する職場で、1日8時間程度の作業を日々継続しても、健康に全く障害を及ぼさない濃度の限界として、ACGIH、日本産業衛生学会から勧告の形で示される値を許容濃度(TLV=Threshold Limit Value)という。

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